白バラ
象牙のようにしなやかで、花びらが鋭い刃のように渦を巻く小さな白バラ。まるで芸術品のように、気高き宝石のように、仕立てられた美しい白バラ。さて、この白バラはどこから出てきたものでしょうか?
答えはこちらでございます
出奔から戻った火宅のダイちゃんの胃には栓がされていたそうですけれど、うちのご隠居しーちゅけの膀胱には薔薇が一輪咲いておりましたのよ。そう、この白バラは(し)の膀胱より摘出されたシュウ酸カルシウム結石でございます。角度を変えてごらんくださいませ
今は乾燥して、一回りほど縮み、色も乳白色へ変化いたしましたけれど、摘出した時点ではキラキラ透き通った、それはそれは美しい結晶でした。槍の先のような小さな結晶が集まって渦を巻き、その威力を高めるように右巻き、左巻きが交互に重なり、真っ赤な血しぶきがバラの刃を染めておりました
こんなバラの刃ドリルが、(し)の膀胱を転がっていたのですから、膀胱は傷だらけになって、血だらけになって、血尿になって、頻尿になって、一日中、おしっこに囚われても仕方がない。美しいバラの結晶を覗きこみながら、その痛みが身に沁みました
尿路結石症(尿石症)とは
療法食で融解するストルバイト結晶と、手術で摘出するしかないシュウ酸カルシウムの二つがございます。猫だまりのストルバイト猫はto*vi*(ぽ)で、to*vi*は一過性でございました
しかし、(ぽ)は幾度もぶり返し、ベッドにペットシートを敷くほど尿意のコントロールができずにおりましたけれど、ここ数年、症状は出ておりません・・・にもかかわらず、未だ、ペットシートは敷いているという悲しき現状でございますが (T^T)
しかし(し)は運悪く尿検査でシュウ酸カルシウムが確認され、レントゲンでも塊が白くくっきりと写っておりました
若猫向けのストルバイトでもしんどいほど悩みましたけれど、中高年猫向けのシュウ酸カルシウムにくらべれば天と地ほどの差がございます。療法食を食べさえすれば治るのですから。シュウ酸カルシウムは、腹をかっさばいて、結石を摘出しても、2年ほどで再び形成され、その都度、手術で摘出しなければならないひどい病です。絶対にかかってはいけない病気でございます
経過
白バラの刃が確認されたのが2年ほど前。2年ごとに手術という羽目になるのなら、ギリギリまで手術を延期すれば、手術の回数も減るかもしれないという安易な考えで、手術を受けない選択をしました
ストルバイトの場合は、おしっこが出なくなるのですけれど、シュウ酸カルシウムは頻尿。ほんの数滴を何度も何度も一日中排尿する。出血はあれ、おしっこが出ている分には命の危険はございませんから、おしっこに操られた(し)に申し訳なく思いながらも、手術費用7万円はずしりと重い。7万円で完治するのなら、即手術をいたしますけれど、2年ごとぶり返すなら、少しでも手術の回数を減らしたい。もちろん、お金の心配もありますけれど、(し)は当時12歳でしたから、あまり切り刻みたくはないと思ってしまったのです
悪化
病気は進行します。なぜか体重がどんどん減少し、多飲が現れ、夜の就寝前には、5分近くも水入れに顔をつけて、大量に飲むようになりました。そして、何かにつけ、後ろ足を、砂をかけるようにスリスリと頻繁に擦る仕草が見られるようになりました
もう、限界かもしれない。手術をしようと覚悟して、病院へ
でも、先生は結石以外に原因を求め、シュウ酸カルシウム結石があるから、血尿があるからといって、痩せはしない。体重減退とシュウ酸カルシウムは別問題で、足をスリスリするのは神経障害かもしれない。結石を摘出してほしてワタクシと、別の病気が原因のため手術をしても回復しないと考える先生
ボーの死が脳裏を横切ります。痩せて死に至りました。悪性リンパ腫
あの時のボーよりも激しく痩せている(し)。体重3.75kg。健康体ではおデブな頃は7kg近くございましたから、ほぼ半減し、なでると、ごつごつした背骨や骨盤がリアルに感じられるほどなのですけれど、血液検査では若干、腎臓の数値が高い程度で、不思議と健康体なので、結局「様子見」で終わりました ε=(‐ω‐;;)
結石があって、結石で頻尿・血尿になっているんだから、とりあえず摘出してくれれば、その次の手立てが見えるんじゃないかと思うけれど、医師たるものエビデンスなしに手術はできないのでしょう。先生の望む検査をすべて行えばスムーズに進むのでしょうけれど、8猫もおりますと、ひとりにお金をつぎ込めないのです。もしものために、不要な支出は省きたいのです。だから、簡単に意見は一致しませんのよ
敗北感と無力感に囚われつつも、おしっこに支配された(し)を見守るしかなく、最初に手術しておけばこんな面倒なことにはならなかったのに・・・と後悔する日々が続きます
末期
昨秋、トイレが間に合わなくなりました。尿意を感じて、トイレに急ぐもトイレの二、三歩手前で失禁してしまうことが続き、どうせトイレに間に合わないのであれば、したいところで「いたしますよ」という心意気になって、果ては、寝床でおしっこをし、その上で眠るまでに至りました
食事も食べられる量は少なくなっているのに、回数が増え、空腹を感じて、食べる意思はあるのに、食べられない。食事以外の時間は眠り、その眠りを頻繁な尿意が邪魔をする
ガンかもしれない。長く生きられないかもしれない。なら、おしっこに支配されたまま死なせたくない
検査
手術をするしかありません。そのためには、先生の望む検査をすべて受け入れると腹をくくり、病院の扉をくぐりましてございます。以前の検査から1年たっておりましたけれど、体重3.75kgで変化なし。血液検査の数値も変わらず、腎臓もステージⅠでとどまり、不思議な健康体を保ってくれておりました
しかし、検査は続くよ、どこまでも
「尿から採取した細胞を染色してみたたら、核が肥大していたので、外部に検査に出していいですか?」
「膀胱がんですか? だったら、もう手遅れだと思うので結構です」
ガンならガンで仕方がない。人間みたいな治療は受けられないし、抗がん剤を犬に施した知人は、今度、抗がん剤をするかと問われれば、安楽死を選択すると言う。それほど苛酷らしい。静かに逝かせたい。そのためにも結石摘出あるのみ
次に、エコーで膀胱に腫瘍があるか否かを調べることになったのですけれど、頻尿ゆえ、膀胱に尿がたまっておりません。点滴で膀胱を膨らませるのですけれど、点滴が膀胱に降りるまで6時間くらいかかるとのことで、(し)を預けて帰宅。18時にもう一度、病院へ
エコーでは腫瘍は見られず、主因として確認されたのが、レントゲンで確認されたシュウ酸カルシウムのみ。それは2年前にわかっている。しかし、一回り大きくなっている。先生はあくまでも細胞を検査に出したいと主張し続けるけれども、ガンであるなしにかかわらず、結石を摘出するのだから、開腹した際に、直接、膀胱を見れば、ガン腫瘍の有り無しはわかるでしょうと断り、先生も開腹するなら「そうですね」と納得。ついに手術へGO!!
それでも先生は、手術の予約は年内いっぱいなので、来年になるとおっしゃるので、もう一秒足りと待てないと、強引にお願いして3日後、12月22日、手術を行ってもらいました
術前検査費用 ¥23,122(税込)
- 尿検査 1500円
- 血液検査 5200円
- エコー検査 3000円
- レントゲン 6000円(@3000円✖2枚)
- 点滴代 3500円(膀胱を膨らませるだけなのに・・・)
- 診察料 1000円
- 爪切り代 500円(エコー時に暴れたので切られたが、お金がかかるとは・・・)
- 薬代 300円(水薬の止血剤)
手術
開腹して結石を取り出すのだから、避妊手術と変わらないと高をくくっておりましたのに、3時に病院から電話あり。今、ちょうど手術をしている時間ではないか。なにか予期せぬことが起こったのか (((( ;゚д゚)))アワワワワ
術後2、3日は自力で食事をとることが難しいから、食道チューブをつけたいとのこと。手術自体に問題はなくでホッとするも、大事になってる気配にビビりつつ、もう、この際、やれることはすべてやろうとOKいたしました
術後の(し)は、喉と膀胱から管が出て、ピンクの栓がしてあって、喉には黄色の包帯か巻かれ、カラーをつけられ、腕には静脈注射の器具がサージカルテープが張り付けられ、その姿は痛々しく、これから先に不安もございましたけれど、(し)の顔つきは意外としっかりしておりました
手術費用 ¥74,702(税込)
- 診察料 700円
- 麻酔料 15000円(気管チューブ料込)
- 手術料 40000円
- 食道チューブ 3000円
- 静脈点滴 5000円
- 内服液 800円(吐き止め)
- 生食シリンジ 750円
- クリティカルリキッド 1060円(1本)
- 消毒液(小)代 300円
- カラー代 1300円
- レジ袋代 1円(どこでも必要みたいですww)
- 培養検査費用は後日いただきます(こんなんOKしたかしら、まっ、もう、どーでもいいけど)
カラーと術後服
病院から戻ると、(し)は初めて装着したカラーと麻酔の残りで、ブルトーザーのごとく、いたるところに突進したします。(し)は安心できる場所でゆっくり落ち着きたいのでしょうけれど、アッチもコッチもドッチもソコも入れない
カラーを外すと落ち着くのですけれど、チューブを引っこ抜いてしまうのが怖いので、おっかなびっくり、つけたり外したりを繰り返しまして、お互いヘトヘトになりましたけれど、なんとか、いつものおこた布団と上掛けの間で一夜を過ごすことができました
翌日は、カラーを外しても、チューブを引っこ抜く元気もないほど弱っていることがわかり、ワタクシが部屋を空けるときのみカラーを着用し、それ以外は外すことにいたしました。たった半日で無用のカラーとなりました
病院で作ってくださったタオル製術後服。この茶色のタオルが伸びない。伸縮性ゼロな上に、リボンもまた昔の伸びない包帯ですから、飛び降りるとバランスが取れず、顔から着地し*1、飛び上がろうとジャンプするも、おもしろペット動画ようにそのまま着地するため*2、術後服を自作いたしました。タオルの収縮性は25%程度*3ですが、背中のリボンをゴムに変えましたので動きやすさは段違いになったと思われます。術後服は1週間着用しました
おしっこチューブ
おしっこはチューブから出しますが、膀胱を縫合しているため、膨らませないように「栓をせずに24時間流しっぱなし」が推奨されたのですけれど、そんなことは難しく、2~3時間ごとに栓を開けておしっこを出す方法を選びましたが、おしっこが膀胱に溜まっている感があると、しんどいのに起き上がって、用足しの型をとってしまうので、ペットシートで10㎝四方の袋を作って、セロテープで固定し、栓を開放いたました。飲まず食わずなのに、2~3時間ごとに袋を交換しなければならないほどよく出ますので、24時間開放して正解でした。ぐっすり眠るようになりました
おしっこチューブは傷がよくなるまでつけておくのかと思ったのですけれど、24日に外されました。3日間しかつけてはいけないという決まりがあって、延長する場合は新しいチューブを入れ直さないといけないらしく、もうしばらくつけておきたかったのですけれど、入れて、縫い付けるという行為を麻薬なしで行うのはあまりにもかわいそうすぎて、あきらめました
以後2日ほど、したいところでしました。でも、以前のような数滴を何回もではなく、1日1回、夜中に、血尿ではなく普通の尿をこたつ布団の上にしました。でも、そこにはちゃんとペットシートを敷いておいたのさ (´・ω・`)v"
3日目からはきとんとトイレで用を足し、以降、ところかまわずしちゃうことはなくなりました (。・ω・ノノ゙パチパチ 健康な時よりは小さなおちっこ玉になって、その分、回数も増えたので、お掃除するとコロコロ、たくさん掘り出されるのですけれど、このおちっこ玉が、愛おしくって、元気になったんだなって、ほっとする毎日です
処置費用 ¥5,148(税込)
- 診察料 700円
- 尿道チューブ処置料 800円
- クリティカルリキッド 3180円(3本)
流動食
手術から2日間は寝ているばかりで、自らごはんを食べることはありませんでしたので、クリティカルリキッドを100cc/1日を3回に分けて、注入しなければならないのですけれど、怖いですよ、最初、一発目、注入する時は
これくらいの速さでいいのかしら、ドキドキ
ちゃんとはいっているのかしら、ヒヤヒヤ
逆流したり戻したりしないのかしら、ハラハラ
「吐いてチューブも一緒に出てくることがありますけれど問題ありませんから」と先生はなんともなく仰るけど、出てきたらどうしましょう。とても緊張いたしましたが、結果はとても順調に終了しました
▶流動食の手順
🔽まず、流動食を吐く可能性があるため、1日1回、朝1番に嘔吐止めを飲ませます
- 小さなシリンジに注射針をつけて、生理食塩水を2.5mlをとり、シリンジごとジップロックに入れて、お湯につける
- 猫肌まで温まったら、チューブにつまりがないか、むせないかを確認するため、首のピンクの栓を開けて注入
- 錠剤の嘔吐止めを粉砕し、猫肌の生理食塩水2.5mlで溶かして投与。薬が効くまで30分待つ
🔽流動食:クリティカルリキッドを投与(1日3回)
- 猫肌の生理食塩水2.5mlを流す
- つまりがない、むせないことを確認して、猫肌に温めた流動食30mlを大きなシリンジで、ゆっくりゆっくり注入し、栓をする
- すべてが胃に落ちた時間を予想して、再び、生理食塩水2.5mlを流して、チューブを洗い、栓をする
このように手順を記すと大変な作業のように思えますし、実際そう思っておりましたけれど、やってみると不思議なことに、(し)が流動食を流し込まれることをとても好みまして、栓を外そうと喉を触るとゴロゴロ喉を鳴らし、シリンジを持っていくと、さしやすいように頭をかしげて首を出してくれる。そして、食事が終わるまでゴロゴロと心地よさそうにしておるのでございました
唯一、大変なことといったら、クリティカルリキッドの中身が見えないから、シリンジをつっこみすぎてベタベタになったり、つっこまな過ぎてたくさんはいった空気を抜こうとして、中身が噴射したり。今思えば、注射針で吸い込めばよかったかなと思うけれど、えー、ポタージュみたいな液体をあんな細い針で30mlも・・・
食道チューブを抜くべきか
手術から3日目、ごはんを自力で食べるようになりました。15時にパウチを少し、17時にカリカリを食べ、18時、20時と、どんどん食欲が増し、食べる量も増えて、うれしい限りなのですけれど、そうなるといつ流動食を注入するか。体重が落ちているので、流動食も併用した方がいいとのアドバイスで、4日目からはクリティカルリキッドが1日1本になりましたから、タイミングの見極めが難しい。好きな時に好きなだけ食べますから、流動食を入れて、胃がパンパンになったら吐いてしまうかもしれません
発熱し保温するお肉のない骨川筋衛門で、体温も低くなっていたら、おなかに温かいものが入ると「気持ちがよかったのかもしれませんね」と先生と談笑しつつ「相性もいいので、もう少し食道チューブをつけておきますか」と勧められましたけれど、年末年始は休診ですから、何かあったら怖いので、28日に抜いていただきました
チューブを抜いた瞬間は、赤く火口のようにぱっくり直径8mmほど穴が開いておりましたけれど、縫いもせず、軟膏を塗って、イソジンをしみこませた綿をあてて、派手な包帯を巻かれ、手術服も必要ないからと脱がされました。しかし、プラナリアほどの再生力はございませんが、夕方、包帯を変えるころには、火口はL字の傷になって、10日後にはきれいふさがりました
処置費用 ¥2,970(税込)
- 診察料 700円
- 食道チューブ処置料 1000円
- 薬・包帯代 1000円
今週のお題「告白します」
実は手術をしてから、まもなく2か月たちます。後ろ足をする行為もなくなりました。手術前に気にかけていた症状はすべて解消し、すべての原因は白バラの刃であったようです。まだ、ほっそほそですけれど、背中をなでるとすべすべと滑ります。もう、ゴツゴツ背骨の一つ一つにひっかかることはありません。少しお肉が乗ってきたようです。ごはんもよく食べるようなると、いつもの「この気分じゃにゃい」「また、これにゃの」と文句もうなぎ上りでございます
そして、先生のお勧めで、腎臓ケアもできて高カロリーな高齢猫用のロイヤルカナン ベッツプラン エイジングケアプラス ステージII プラスを購入。また、猫だまりのフードリストが増えてしまいましすた (T^T)
サンプルではがっついたものの、2kg入りが届いたら見向きもいたしません。これはいつものことですので想定内なのですけれど、サンプルを(し)から奪って、(り)と(き)もがっついたものですから、(り)がロイカナを食べることに感動して購入いたしましたのにさ、見向きもしない。こっちが地味にショックでございます。置きごはんにしておりましたら、誰かは食べているようなので良しといたしましょう
しーちゅけは8月で15歳になります。猫だまりの長老は享年16歳のボーです。大きな手術をして、大変な思いをしたのですから、ぜひとも長老記録を更新してほしい。がんばれ、ご隠居(し)!
培養検査費用 ¥11,770(税込)
今回の医療費合計 ¥117,712
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